カラ・ジャパン株式会社/ヴァイスプレジデント/山崎 亮
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メディア起点でコミュニケーションプランを考えるのが、世界の潮流
カラ・ジャパンは、1968年にフランスで生まれ、今は英国・ロンドンに本拠地を置き、世界150ヵ国・地域で展開する世界最大級のメディアエージェンシーCarat(カラ)の日本法人として、2003年に設立されました。同じくロンドンを本拠地とする電通グループ「電通イージスネットワーク」の一員として、dentsuXやVizeum(ビジウム)とともにメディアコミュニケーション業務を推進しています。
近年、海外のクライアントにおいて、たとえばロンドン本社から世界中を対象にメディアの提案を求められるケースが増えているのですが、そうしたグローバルの超大手企業に対する対応を日々の業務として行っています。たとえば、あるアパレル企業へのニューヨークでのグローバル・プレゼンテーションで、日本市場のメディアに関する部分を受け持ったりもしています。
電通イージスネットワークの他のブランドとの協業もあります。クライアントからの要望でニーズがあれば、デジタル・パフォーマンスに特化したiProspect(アイプロスペクト)やデジタル系クリエイティブエージェンシーのIsobar(アイソバー)と連携もしますし、逆にそちら側のクライアントからメディアに関するニーズがあれば当社が対応します。メディアについてはカラ・ジャパンがキーとなって受け、グループのシナジーを活かして対応できるのがメリットですね。
特徴としているのは、コミュニケーションプランを考える中で、「メディア・ファースト」、つまり、メディアを起点とする考え方を重視していることです。もちろんこれはコンシューマー・ファースト、消費者起点の考え方につながるもので、メディアのことだけを考えているわけではありません。ターゲットを設定、分析してメッセージを伝えていく時に、彼らが「日々どういう態度で、どういうメディアに接しているのか」を踏まえた上で、コミュニケーションプラン全体を創っていくべきだと考えているのです。どういう接点で消費者に情報を届けねばならないかを、まず第一に考えているというわけですね。 これは欧米発のトレンドで、まずメディアエージェンシーに話が来て、どういうメディアを使っていくかのコミュニケーションプランをある程度まとめたところで、それに対してクリエイティブエージェンシーがクリエイティブを提案するケースが増えています。両者がより専門性を高めてきている中で、まずメディアプランをというのが世界の潮流なのです。
独自のデータベースやツールが、よりダイナミックで精緻なコミュニケーションプランを実現
カラ・ジャパンについて、他社との優位性でいうと、圧倒的なデータベースの力です。世界市場では電通イージスネットワークの有する消費者分析ツールを、日本市場では電通のツールも用いることができるのが大きいです。特に欧米企業では消費者データが近年とても重視されるようになっているのですが、電通イージスネットワークではM1™(エムワン)という精度の高いデータベースを海外では活用しています。人にフォーカスしたマーケティングが業界の潮流であるのは明らかですし、クライアントにとっても、マーケティング予算をより効果的に使っていくには、ターゲットを群でとらえるよりも、より個人に近いとらえ方にますますシフトしていくでしょう。そうした動きにおいても、日本市場で展開するマーケティングでは電通グループが圧倒的に有利といえます。
メディアプランニング・ツールもカラ独自のものと、日本市場向けには電通の持つツールも駆使しながら、いわゆるコンシューマー・ジャーニーという、購入に至るプロセスを行動面・心理面から組み立て、それに見合ったメディアをプランニングしています。
扱うメディアは、テレビや新聞・雑誌、OOHにデジタルと網羅されています。国際級のスポーツイベントにまつわるメディア業務などもありますね。OOHでも車内広告や看板だけでなく、六本木や渋谷のオーロラビジョンであるとか、媒体自体の開発に近いプロジェクトなどもあります。たとえば、ファッション系のクライアントで既存枠に留まらないアイデアも要求され、裏原宿エリアにて一般家屋も巻き込み、街中の壁をポスターで埋め尽くしたこともありました。
メディアの買い付けは当社ではなく、電通やCCI(サイバー・コミュニケーションズ)など、ケースによります。一部は直接OOH専業の会社からの買い付けもありますね。
営業はこちらから仕掛けるよりも、カラや電通イージスネットワークのグローバルから声のかかるプロジェクトが多いです。電通からプランニングについて声がかかることも中にはありますし、グローバルのクライアントに日本独自でアプローチするチャンスもあります。面白いのは、日本市場に進出するに当たって、英語の通じる代理店ということでコンタクトがあるケースですね。最近ですと東南アジアベースの最大手LCCエアラインや、世界大手の旅行比較サイトなどの例があります。
クライアントの予算規模は、年間で数千万~数億円という比較的小規模なものから、数十億円規模のものまで様々です。小規模な場合はコミュニケーションプランナー1人が数社を並行して担当することがほとんどですが、数十億円規模のクライアントに対しては、プランニングのリードやクライアント担当、それにデジタルも含めてコミュニケーションプランナーが数名といったチームを組んで対応しています。
グローバルからの引き合いが増えていますので、積極的に採用を行い組織を拡大していければと考えています。組織を拡大することでさらにビジネスの領域を広げられますし、市場のポテンシャルは十分に感じています。
デジタルも加わった広告業界の変革期に、グローバルエージェンシーを体感する面白さ
こうしたビジネスの成長フェーズで、求める人材像としては、広告業界経験者であれば、メディアのプランニングや営業に携わったことがあれば最適です。また、業界未経験であっても、例えばメディア側での経験であったり、クライアント側の商品企画や営業、マーケティング部門などの経験があるなど、いわゆるマーケティング的なものの考え方ができる方であれば、ご本人の努力次第でいくらでもキャッチアップしていただけると考えています。カラ・ジャパンは、グローバルでは大きなネットワークに属していますし、エキサイティングに仕事をしていただける場であるといえます。その一方で、決してできあがった組織ではなく、まだまだ変化もし、成長もしていく会社だとも断言できます。そうしたアグレッシブな環境で、組織の成長を自身の成長にもつなげたいと思われるような、意欲的な方であれば、必ずしも業界経験がなくても大丈夫でしょう。
英語力については、クライアントがほぼ外資系ですので、ビジネスレベルが望ましいところです。外資系の日本支社とコンタクトするにしても、提案資料は全て英語になりますし、基本的に日本語だけでビジネスが完結することがほぼありません。ただ、日常会話レベルの英語力であっても、補助制度があるのでビジネスレベルを目指して勉強していただけますし、仕事をしていく中で自然と身に付く部分もあるので、これも意欲次第といえるかもしれません。
ベンチャーほどのリスクはないけれど、固まりきってはいない組織であることには、ぜひ面白さを感じてもらいたいですね。その上で、電通グループという基盤はあるので、ある意味での安定はありますし、グローバルにおける電通イージスネットワークという巨大なメディアエージェンシーグループという強みは、広告業界の他社にはないものです。世界ではビッグネームですが、日本ではまだこれからという成長フェーズにありますから、ジョインしていただくには絶好のタイミングでしょう。
実は私自身も、2018年の夏にジョインしたところです。長く日系の広告代理店に勤め、その時代にタイに赴任したり、またその後に中国系のITベンチャーに勤務もしたので、広告業界の仕事は日本以外におけるものも含め、ひととおり経験してきました。そこで次のステップとして、欧米のいわゆるグローバルエージェンシーがどういう仕事をしているのかに興味を感じたのが、カラ・ジャパンを選んだ理由のひとつです。もうひとつは、電通グループという広告業界の巨人が実際どのような仕事をしているのか、中から見てみたいという好奇心からです。むろん、私自身には組織作りというミッションもありますから、ともにビジネスを盛り立ててくれる挑戦に意欲的な人材に、一人でも多く出会いたいですね。
デジタルという巨大な市場が加わって、今後、広告業界がどうなっていくのかは、業界経験者ならずとも関心事なのではないでしょうか。大手広告代理店ですら将来は混沌としており、デジタル系の広告会社が勢いづいて、下克上が巻き起こってもいる時代です。こうした変革期だからこそ、広告に関心のある方が、カラ・ジャパンのような、実は世界ではスケールが大きいという場を経験するのは、その方のキャリアにおいて非常に意味があるのではないかと思うのです。日本流だけではない広告代理店の仕事の仕方やものの考え方に触れておくことで、今後の人生が大きく変わりますよ、きっと。
社員の声
カラや電通のツールも駆使し、メディアプランニングのスキル向上を実感
カラ・ジャパン株式会社/コミュニケーションプランナー/鈴木エミリー
広告業界は未経験でしたが、外資系で転職を考える中で、これから大きく成長しそうな領域であるのと、仕事を受身ではなく積極的につくっていけるカルチャーに魅力を感じ、カラ・ジャパンに入社して1年半になります。期待どおりに、プレゼンへの参加やミーティングでの発言もでき、自分のアイデアが通ることもあるなど、日々成長を感じています。
入社してからは新規のクライアントを担当して、常時7~8社ほどに対応していました。予算やターゲットに応じて、カラや電通のツールを使ってデータを抽出、分析したり、クライアントへのプレゼンやコンタクトを任されることや、メディアプランニングを一貫して担当したこともあります。未経験の業務であっても、周囲のサポートがありますし、自分でも興味を持ってケーススタディを学ぶなど意欲的に動いてきたので、不安を感じることはありませんでした。
各メディアの媒体特性や特徴なども、仕事を通じて理解が進みました。クライアントの業種としても、旅行やホテル、飲料、食品、アパレル、オーディオ、化粧品など、幅広く経験できました。仕事における英語の割合は、最初は50%でしたが、今は90%ですね。ロンドンが本社なので、ヨーロッパ企業のクライアントが多いのです。
最近になって異動して、大手クライアント1社を担当する5人のチームに加わりました。これまでは次々とくる新規案件を内容に応じて適切に対応してきましたが、今度は長期にわたって特定のクライアントと課題を一つひとつ解決しながら進めていくスタイルになります。これまでの経験が活かせる部分もありますし、新しいチャレンジもあるので、楽しみですね。
今後の目標としては、3年後くらいにはリーダーとしてチームを率いるレベルを目指したいです。また、主要メディアをより適切に扱えるようスキルを磨きたいですし、これからの主流であるデジタルメディアについても経験を深めたいと思っています。デジタルメディアは変化が激しいので、目が離せません。今、日本では人気のTikTok(ティックトック)もアジアでのトレンドで、欧米ではSnapchat(スナップチャット)やPinterest(ピンタレスト)など、また別のカルチャーであったりもします。とはいえ、カラ・ジャパンとしてはやはり日本独自のデジタルトレンドに通じていることも大事。イギリスやアメリカなど、広告業の本場における新しい事例などが手に入りやすい環境も活用しながら、グローバルで通用するメディアプランニング力を身につけていきたいです。