元マーケターが語る広告代理店から事業会社のマーケターへの転職

広告代理店から事業会社へ転職を希望するマーケターは多くいます。両者の違い、転職における注意点を元マーケターであるデジマージョブ HRコンサルタントが解説します。

事業会社はマーケターの転職先として人気

マーケターを対象としたアンケート調査「マーケターの転職に関する実態調査」によると、転職したい業種として68%のマーケターが事業会社と回答しています。

マーケターの転職に関する実態調査(MarkeZine)

当社にご相談頂く方でも、広告代理店にお勤めの方で「事業会社に転職したい」というご要望の方は多くいます。しかし、その理由が「広告代理店は激務なので事業会社でワークライフバランスを整えたいから」「広告代理店は経験したので次は事業会社」といったものだけだと、転職活動がうまく行かなかったり転職後にミスマッチが起きてしまう可能性があります。そのような失敗を避けるため、マーケターが広告代理店から事業会社に転職するためのポイントを解説していきます。

広告代理店と事業会社のマーケターの仕事の違い

まずは、広告代理店と事業会社のマーケターの仕事の違いを認識しましょう。

1. 目的の違い

広告代理店はクライアントの「広告予算の最大化(コミッション)」がビジネスの目的であり、事業会社は「事業の売上・利益の最大化」が目的です。売上と利益、どちらを重視するかは事業戦略によって変わりますが、広告宣伝費を増やすことを目的とする事業会社は無いので、まずここから大きな違いがあります。広告代理店のマーケターは広告予算を増やすことが重要な目的の一つですが、事業会社では状況によっては「広告予算をいかに減らして利益を増やすか」が重視される場合もあります。
また、広告代理店では「CV(コンバージョン)」「CPA(獲得単価)」などの事業上の中間指標を追う場合が多いですが、事業会社では「売上・利益」が重視されます。目標CPAの範囲内でCV数が増えたとしても売上が上がらなかったら意味が無いので、CV以降の「売上・利益までコントロールする」という意識・動きが必要になります。

2. 役割範囲の違い

広告代理店では、様々なクライアントの事業のマーケティングに携わることができますが、事業会社では1社の事業のマーケティングに継続的に携わることになります。その分、事業の理解・ユーザーの理解は深まりますし、マーケティングリサーチなどの上流工程からCV以降の下流工程、プロダクトの開発/改善を担当することもできるなど、マーケティング領域を広げることができる可能性があります。
一方で、たとえば「運用型広告で常に最新知識を得て、最新のプロダクトやメニューを様々なクライアントで試したい。広告運用を極めたい」といった方には、事業会社は物足りなさを感じる可能性が高いです。広告代理店の方が最新の情報や事例が得られやすいですし、最新のプロダクトやメニューが自社の事業に合う可能性は単一事業だと低くなってしまいます。
一般的には、マーケティングの特定領域の専門性を高めたい場合には広告代理店にメリットが多く、マーケティングで扱う領域を広げたい場合には事業会社にメリットが多いと思います。とはいえ事業会社によっては「運用型広告だけ」「CRMだけ」「イベントだけ」を担当することを求める場合もありますので、選考段階でその企業の職務内容が自身の志向するキャリアパスに沿っているかしっかり確認することが重要です。

3. 働き方の違い

広告代理店はクライアントからの要求が恒常的にあり、また一人あたりの担当クライアントが複数社あることが多いため、自分自身で仕事のペースをコントロールするのが難しく、また長時間労働になる場合が多いです。一般的には広告代理店はワークライフバランスを取りにくい場合が多いでしょう。
一方 事業会社では、事業部門からの要求もありますが一人で多くの事業を担当することは少ないため、一つの事業に対して自分のペースで施策を進捗できる場合が多いです。一般的には事業会社はワークライフバランスを取りやすい場合が多いでしょう。
ただし、自分自身で積極的に施策推進せずに「待ち」や「受け身」の姿勢でいると、担当している仕事が少ない/施策進捗が遅い といった良くない社内評価になってしまう可能性もあります。事業会社はワークライフバランスを取りやすい一方、高い自律性が求められるとも言えます。

広告代理店から事業会社への転職の注意点

広告代理店から事業会社に転職して、失敗したと感じるマーケターも多くいます。注意点を解説します。

マーケティングへの理解、マーケティング予算

事業会社によっては経営陣のマーケティングへの理解があまりなく、マーケティング施策に必要な体制や期間、予算を十分に確保してもらえない場合もあります。限られた予算内で成果をあげることは重要ですが、マーケティング投資に消極的な企業では施策の幅にも限界が出てしまいます。転職先企業の広告や開発の予算規模・人員体制がどのようなものかは事前にしっかり確認しておきましょう。

組織体制、意思決定フロー

事業会社によっては、意思決定のために多くの部署・関係者の合意形成が必要な場合があります。たとえば「ある施策を実行するために、関係部署の合意形成をして承認を得るために半年以上かかった」「施策を実行するためには最短3ヵ月はかかる」「マーケティング施策の実行可否を営業部門が決めている」といった話は事業会社マーケターの間でしばしば聞くことがあります。広告代理店から事業会社に転職した方がギャップを感じることがある部分です。(もちろん、マーケティング施策はマーケティング部門が決定する・意思決定も簡潔で速い という事業会社も多くあります)
どのような組織体制でどのように意思決定され、どれくらいのスピード感で施策進捗しているのか。入社してみないと分からない部分はどうしてもありますが、できるだけ内定受諾の前に確認しておきましょう。

広告代理店から事業会社のインハウスマーケターに転職するには

マーケターが広告代理店から事業会社への転職を成功させるためには、上記で解説したように以下のポイントが重要です。

  • それぞれの仕事の違いを認識して、事業会社で実現したいことを考える
  • 企業を様々な軸から事前に確認し、入社後の業務の進め方をイメージする

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