AISASとは?
AISASもAIDMAやAIDCAと同様の消費者が商品を購入する際の行動をモデル化した「消費行動モデル」の一つです。AIDMAが「Attention(注意)」「Interest(興味・関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」となっているのに対し、AISASでは、「Attention(注意)」「Interest(興味・関心)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」の5つになります。このAISASは、1995年に日本の大手広告代理店である電通が提唱したもので、2005年には同社が商標登録を行っています。
今回はこのAISASについて詳しく見ていきましょう。
AIDMAとの違いとは?
AIDMAの各5段階のうち、「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」がAISASでは削除され、その代わりに「Search」と「Share」が「Action」の前後に入っています。このAISASはインターネットが普及した後の社会を想定しています。このAISASのモデルでは、消費者はある特定の商品に興味をもったら、まずインターネットで検索(Search)を行って情報取集を行います。そこで得た情報に従って、消費者は購入や資料請求といったActionを起こします。そしてその商品や資料の感想を自らのブログやSNSに書き込んで、商品に関する情報をインターネットを通じてShare(共有)するのです。
この「Search」→「Action」→「Share」の流れが、インターネットの普及による、消費者の行動の変化を端的に表していると言えるでしょう。
このようにインターネットでの情報検索や、ブログやSNSでの共有といった消費者の行動を盛り込んでいることから、このAISASのモデルはWebを活用したプロモーション活動では必須のモデルとして活用されてきました。
AISASへの批判と発展型
AISASはインターネット社会での消費者行動モデルとして受け入れられてきましたが、更なるインターネットやSNSの発展に伴い、AISASに対する批判が出てくるようになりました。
まず「Attention」ですが、インターネットの拡大によって情報の供給量が増加したため、企業側が注意を惹こうと情報発信をおこなっても、なかなか消費者の注意喚起につながらないという状況に陥っています。この後の「I」以降の流れに乗せたくてもなかなか、消費者に興味を持ってもらえない状況なのです。
また、「Share」は「Action」の後、最後のところに来るように想定されていますが、実際にはインターネット検索技術の向上やSNSの普及もあり、検索結果が興味深いものであれば、購入等のActionを起こさなくても情報の共有(Share)を行うという人も増えています。「Search」→「Action」→「Share」の流れが成立しないというものです。
このような批判もあり、従来の消費行動としてのAISASを縦軸にとり、横軸にISASを加えた「デュアル・AISAS」というモデルを提唱する人も出てきています。横軸のISASは、「I」が「Interest」で興味・関心・共感を、「S」が「Share」でSNSでの共有を、「A」が「Accept」で受容を、「S」が「Spread」で拡散を表しています。つまり、興味・関心を持った情報が共有され、その内容を受け入れた第3者がさらに共有することで拡散していくという情報の流れを表しています。
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